睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まり、無呼吸状態になる病気です。肥満傾向にある中年男性に多く見られますが、原因は気道が狭くなることによるため、痩せている人や、更年期を過ぎた女性にも多く見られます。
本人は自覚がないことも多いのですが、夜中に何度も目を覚ますため眠りが浅くなり、日中に強い眠気を覚えます。また、低下した酸素濃度を補うために高血圧や動脈硬化が進み、心筋梗塞、脳梗塞を起こしやすくなります。睡眠不足によるストレスも心身に悪影響を与えます。
睡眠時無呼吸症候群を放置して重症化すると様々な病気だけでなく日中の眠気による事故など死亡率が非常に高くなるため、早期の治療が必要とされる病気です。
慢性的で、周囲の人が眠れないほど大きないびきは要注意です。呼吸が止まる間はいびきも止まります。その後、あえぐように呼吸が再開し、再び大きないびきをかき始めるのが特徴です。
睡眠中に10秒以上の呼吸停止が1時間に5回以上(もしくは一晩に30回以上)起こる場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
睡眠時無呼吸症候群になると、常時睡眠不足になるので、日中にボーっとしたり、注意力が散漫になったりしがちです。居眠り運転や交通事故の原因にもなります。
睡眠中に呼吸が止まるため、脳の酸素欠乏と二酸化炭素の上昇により、起床時に頭痛が起こるようになります。
以下の症状が見られた場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるので注意しましょう。
睡眠時無呼吸症候群の原因は、気道が狭くなり呼吸しづらくなることにあります。 気道が狭くなる原因としては、
などが挙げられます。
睡眠時無呼吸症候群の人には肥満傾向の人が多いので、メタボリックシンドロームとも関連があるといわれています。
また、お子さまの場合は胸の一部がへこんでいる漏斗胸、おねしょや夜泣きなども関連しています。
睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や心臓病、脳卒中、糖尿病などのいわゆる生活習慣病と密接な関係にあるといわれています。
重度の睡眠時無呼吸症候群になると、およそ4割の人が上記の病気を併発し、9年後に死亡するというデータがあります。
睡眠時無呼吸症候群は、放置しておくと非常に危険な病気なのです。
睡眠時無呼吸症候群の治療にはさまざまな方法があります。
無呼吸状態を防ぐために、睡眠中、CPAP装置のマスクを鼻に装着し、エアチューブから気道へと空気を送り込む治療法です。装置は医療機関からレンタルされ、保険診療が適用されます。
CPAP療法は継続することが重要です。マスクのフィット感や送り込む空気の圧力の設定など、医師と定期的に相談することにより、CPAPを快適に使い続けることができます。
また、CPAP装着時のデータは当院がすべて把握しているため、外来でお越しになった際には、最新データに基づいた現状についても医師より詳しくご説明させていただきます。
これらの理由から、CPAP療法は月に1回ご来院いただくこととなります。
CPAP療法の治療期間については個人差があり、長期間の継続が必要な方もあれば、早期に症状が改善されて治療完了となる方や、マウスピース治療へ移行する方もいらっしゃいます。肥満が原因となっている方の目安としては、少なくとも体重を10%減らすまで、治療を継続します。
症状が比較的軽度な場合に有効とされる治療法です。
患者さまお一人おひとりの骨格に合わせたマウスピースを作製し、下あごを上あごよりも少し前方に出すように固定することで、上気道を広く保ち、無呼吸状態を改善させます。
マウスピースの作製については、提携先医療機関の口腔外科をご紹介いたします。マウスピース完成後に、実際に装着していただいて簡易検査を行い、治療の効果を継続して確認します。
睡眠時無呼吸症候群の原因がアデノイド(咽頭扁桃)や扁桃肥大である場合は、摘出手術が有効です。
咽頭形成術・アデノイド切除術・扁桃摘出術など、原因そのものを取り除く根治療法となります。
外科的手術は基本お子さまのみに行い、成人の方に行うことはまずありません。手術は当院からご紹介する提携先の医療機関にて行います。
睡眠時無呼吸症候群は、「終夜睡眠ポリグラフ検査」により確定診断されます。 検査機器を体に装着した状態で一晩睡眠をとっていただき、脳波や眼球運動、呼吸運動、心電図、酸素飽和度、脚の動き、いびきなどを観察します。 この検査により得たデータで、無呼吸の有無や睡眠の質を解析・評価し、原因や進行の度合いを確認し、治療法を決定します。 検査に痛みはありません。 当院に1泊して検査を行い、翌朝には帰宅していただけます。
一人ひとりの患者さまときちんとお話をするために みなさまのご理解とご協力を 何卒宜しくお願い申し上げます。
▲9:00~13:00新患の患者様は、窓口受付か電話受付となりますご了承ください。